桜とケンカしたあの日から俺は桜を泣かせないように頑張った。
桜と少しでも長く一緒にいたかったから…
それと同時に『好き』と言わないようにした。
別れるとき『嫌だ』と言ってしまうと思ったからだ。
離れるとき辛くなるからだ。
ケンカは仲直りできたが、桜は今でも俺のことを嫌いだと思っているんだろうか。
「和希くんあのね?」そう言われ、俺は桜を見た。
小ちゃくて目がくりくりしててほんとに可愛いやつだと思ってしまう。
「2日後、友達と旅行いってもいい?」
「桜の好きにすればいいよ」
「ありがとう!私の友達と友達の彼とあと1人男の人が来るんだって!」
なんだよそれ…俺はどうなるんだよ…
「…くん、和希くん!」
「っあ、なんだっけ?」
「東京行くって言ったんだけど…和希くん最近おかしいよ?ぼーっとしてる。」
「わりぃ…」
「なにかあったの?」
「いや、なんでもねぇ。じゃあな。」
そう言って俺は桜を1人にしてしまった。
桜にはきっともっと良いやつがふさわしいんだ。俺なんかといちゃダメなんだ。
そんなとき後ろから
「いや!やめてよ!和希くん!!」
「ってめぇ!なにしてんだよ!きたねぇ手で桜にさわんじゃねぇ。離せ!」
ボコっ…
「ごめんなさいー!」
そう言って野郎共は走り去った。
「和希くん…ごめんなさい…私のせいで…大丈夫?…」
そう言って桜は俺の傷をハンカチでおさえた。
