*和希side*

桜は俺の天使。

無防備なあの笑顔男を一瞬で虜にする。

絶対誰にも渡さない
絶対手離してやんねぇ。

俺は桜じゃなきゃダメなんだ。


付き合って4ヶ月くらい経ったとき俺らは些細なことで大きなけんかをした。

桜は俺に文句を言う。
『和希くん、記念日忘れるなんてひどいよ!』
そうやって強気で言ってるくせに桜は大粒の涙を流していた。

俺は桜が言う文句を黙って聞いていた。
それは面倒いとかじゃなくて桜が思っていることを言って欲しかったからだ。

『和希くんなんて嫌い!』

俺の思考はその一言で停止した。
“嫌い”それが桜が思っていたことだったのか?

そのとき俺は思ったんだ。
《桜はいつか俺の隣からいなくなる》

でも俺は桜と離れたくなんてない。
だからせめて桜が俺に、この恋に別れを告げるまで一緒にいたい。

一緒にいる間は桜を泣かせない。