雨唄*誘惑の毒


普通に歩いていただけ。
だけど何故?
時間が長い気がした。
ゆっくり過ぎているように感じた。

その日から、私は彼を気にするようになった。
もう、恋なんてしないと決めたのに。
あの男子高校生が、前の彼に似ているとかじゃない。
何故か安心する。
それだけなんだ。



「今日もいない…」

「…誰が?」

「あ、あや。」

「最近、ルナ怪しいもん」

「何で?」

「一週間ぐらい、ずーっと様子がおかしいの。授業中もポケーっとしてさ」

「そう?」

首を上下に振る。
瞬も隣にいた。

「だれが来ないのぉ?」

「え」

「ボクらには…言えないのかい?」

「内緒なんてズルいよ、ルナ」

普段は一緒にいる人だとしても、この気持ちはハッキリするまで言えない。
どんな気持ちの一部なのかわからないから。
気になるって……恋?
それとも何?

「あ!蓮!」

「え」

あやが手を振る相手は、確かにこの間の男子高校生。
もしかして、知り合い?