君みたいに強くなりたい。
君みたいに誰かの役に立てるような人になりたい。

そう、君は私の勇気でした。







「月、おはよう!」

「おはよう、あや」

私は紅夜月(こうや るな)。
高校一年。
実は初恋が最近終わりました。
もう、恋なんてしません。
そう決めて、新しい人生を歩もうとしています。

「ね、あたし昨日、あの有名なスイーツ屋さん行ったんだ。でね、こんなの発見したんだ!」

「なに?」

「じゃーん!あこの美味しいケーキ割引券!」

「貰ったの?」

「そ、ルナも今度一緒に行こ!」

萩野絢香(はぎの あやか)。
同じクラスの同級生。

「いーね、行きたい」

「いつならオッケ?」

「明日でもいーよ」

「じゃ、明日ね!」

ガタガタッ

「うわ、ビックリした!何よ!」

「あー…何の話し?」

八雲瞬(やくも しゅん)。
幼馴染みでドジ。

「瞬、ネクタイが汚いよ」

「ほんとーだ…」

「何してんの!ったく、あたしが直したげるよ」

「ありがとぉ、あや」

あやは瞬のことが好き。
だけど、恋愛に鈍い瞬は、それには気づいてない。

「あ!シャツにケチャップついてるよ?しっかりしないとー」

「あれ?いつの間に付いたんだろぁ?」

「ルナ、染み抜きない?」

「あるよ、はい」

仕方ないと、染み抜きを貸す。
瞬がこっちを見て言った。

「るな、元気無いみたい」

「…え、なんで?」

「あ。言われてみれば顔色が…」

私は鏡を見た。
特に変わった様子は見当たらない。

「私、どこか変?」

「なんか…熊が酷い。夜、遅く寝たんじゃない?」

「うん、宿題を…そんな目立つ?」

言われてみれば熊は酷い。
確かに、目立つと言えば…目立たなくはない。

「おせっかいかもしれないけど、あまり無理しないほーがいいと思うんだ。」

「うん。最近、頑張り過ぎてるかもしれないな…」

部活にテスト、学校に習い事。
最近は疲れが溜まっている。

「ぼくに良い方法があるよ?」

「何?どんなの?」

「体を温かくして、すぐ寝る」

「…普通だけど、役に立ちそうだから採用」

「わーい」

今日もまた、こうやって一日を過ごすんだ。
そうやって、忘れたいことを忘れるんだ。