まるで時間が止まったようだった。
周りの音なんて全く耳に入らず、目の前で起こったことに目が離せなかった。
ふわっと美里ちゃんの体が地面から離れる。
「コイツ連れてくから日向子はここで待ってろ」
「わ、分かった」
美里ちゃんを抱きかかえて救護室へと向かうその背中を呆然と見つめる。
そのまま二人がどこか遠くに行ってしまうのではないかと思った。
膝についた砂を払いゆっくりと立ち上がる。
……なに、考えてんのわたし。
「あれ?美里は?」
後ろで聞こえたその声に振り返ると洸汰さんが大きなスイカを抱えて立っていた。



