【完】隣の家のオオカミさん


ぱちぱちとまばたきを数回繰り返し、目はお兄さんを見つめたまま。



───『はい、これあげる。頑張ってね』



いつかのあの声が思い出された。


もしかして、あめ玉の人!?



「あ、のど飴……!」

「そうそう!覚えててくれたんだー」



笑うと目尻が下がり優しげな表情につい見とれてしまう。


笑顔素敵ですねーっ!

心の中でそう叫びながらもう一度千絵とお兄さんを見つめた。


千絵も笑うとすごく可愛いんだ。
たまに見せる笑顔には胸を打ち抜かれる。


女のわたしでもドキッとなるの!



「日向子と洸兄って知り合いだったの?」