お願いっ!と手を合わせ目の前に座る救世主に必死な顔を向ける。 「分かった分かった。ちゃんと紹介するから。これ片づけてくるね」 トレイを持って歩いていくその背中をぼんやりと見つめた。 せっかくの長い夏休みを無駄にはできない。 がっつり働かなきゃ! 「あれ?千絵、ここに座ってなかった?」 低くて落ち着いた声が聞こえてきて顔を上げると知らない男の人と目が合う。 「えっと、千絵なら……」 「あれ?洸兄じゃん。何してんの?」 お皿を片づけて戻ってきた千絵が男の人とわたしを交互に見る。