【完】隣の家のオオカミさん


青信号に変わり、歩きだそうとした大上くん。

その手をつかんで引き止める。


驚いたように顔を向ける彼と視線がぶつかる。


ぎゅっと掴んだ手は前と変わらずあたたかい。



「海外行くなんてわたし聞いてないっ!」


「……は?」


「なんで?」


「や、なんで?ってなにが?」



そうやってはぐらかさないでよ。

なかなか答えてくれない大上くんにもどかしさを感じ、つい掴んでいた手に力がこもる。


すると、大上くんが一旦わたしの手を離し、何をするのかと思えば手を握り直してきた。


手のひらに感じる温もりに胸がどくんと大きく跳ねる。



「お前、なに言ってんの?ん?」



目線を合わせるかのように少し屈んだ大上くんの顔が近くにあってわたしは無意識に息を止めた。