【完】隣の家のオオカミさん





蝉の鳴き声が聞こえ始めてきてもうすぐ夏本番。


あの地獄のような暑い日々が今年もまたやってくる。



「窓閉めろよ。クーラーつけようぜクーラー」



テレビの前に寝っ転がっている大上くんは机の上に置かれているリモコンに手を伸ばしてそれをクーラーへと向けた。


ピッという音が鳴ってクーラーは動き出すはずなんだけど……、



「あ、間違えた。これテレビのリモコンじゃん」


「ぶふっ……わぁ、もうっ!こぼしちゃったじゃん!」


「汚ねーな。何やってんだよ」



持っていたマグカップをいったん机の上に置いてティッシュで口を拭きながらもう一度大上くんに視線を動かす。