「うるさいなぁ……そう大きな声をあげないでよ」
やってしまった。
また傷つけてしまった。
早く全部話さなければ──……
「帰るわ」
走って向かえば終電には間に合うはず。
「私の頼み事聞いてくれないの?」
面倒くさそうにため息をついてみても美里は真顔のまま俺を見上げている。
ホント、めんどい。
ここ最近知らない男につけられている、と相談され家まで送ってやっている。
こいつとはもう関わりたくねーのに頼み事を聞いてしまう自分がいる。
「ストーカーのことなら俺じゃなくて洸汰にでも相談しろよ」
「……私のこと守ってくれるって約束したじゃない」
「いつの話してんだよ……」



