部屋のチャイムを鳴らそうとしたその時、いきなりドアが開いてなにかが俺の胸に飛び込んできた。


突然の強い衝撃にバランスを崩し、よろめいてしまう。



「郁磨! やっぱり来てくれたんだね」


「……で?用件はなに?」



冷たくそう言い放てば頬を膨らませながらグッと顔を近づけてくる美里。


日向子とは真逆なタイプ。


美里は笑うと両頬に深いえくぼができる。
昔と変わらない笑顔。



もう、おまえとは関わりたくなかった。



「明日の朝までずっと一緒にいてほしいの」



俺の手をぎゅっと掴んで背伸びをするその姿がなぜか日向子と被って見えてしまった。