───待ってるから。
そう言い残して一方的に電話を切った美里。
「くそっ……」
前髪をくしゃっと掴んでドアに背を預け、ズルズルとその場にしゃがみこむ。
美里は情緒不安定になることが多い。
なにををするかわからない。
死ぬから……とか、そういう類の言葉を平気で口にする奴だ。
一番大事にしなくてはならない存在を俺は傷つけてしまっている。
なんでこうも物事ってうまくいないんだよ。
どれを選べば正解になるんだよ?
なにが正しくてどれが間違いかなんてもうわかんねぇ。
部屋の鍵を閉めて駅の方へと向かっていった。