「おまえ今までどこ行ってたんだよ!何回も電話したんだけど」
 


声を荒げる大上くんにビクッと肩があがり唇を噛んだまま俯く。

なにも答えないわたしにイラついてきたのか腕を掴む手にどんどん力がこめられていく。


ねぇ、痛いよ……?
怒りたいのはわたしの方なんだよ?



「黙ってたらなんもわかんねーんだけど」



背中に感じるのはドアの冷たさ。

顔をあげるのが怖くてずっと視線を落したまま。

わたしの靴とサンダルの大上くん。
散らばっている鞄の中身たち。


こんな外で大きな声出してたら近所の人たちに迷惑をかけてしまう。

でも家にもあげたくない。



「俺、なんかした?」



────は?