【完】隣の家のオオカミさん



「俺、日向子ちゃんたちのこと応援しようとは思わない」

「…………」



アパートの前で止まった車。

ドアに手をかけようとしたその時、洸汰さんの声に引き止められる。



「美里のことも応援しないし、日向子ちゃんのことも応援しない」



わたしと大上くんが別れようが俺には関係ないってことですか?


たしかに、そうかもしれないけど。
他人事だけど。


早く仲直りできるといいね、って言ってくれてもいいじゃない。


洸汰さんって優しい人だと勝手に勘違いしてただけなのかな、わたし。


優しげなあの微笑みも全部嫌いになりそう。


目も合わせないで小さく頭を下げ車から降りた。