「……美里ねぇ。なに考えてるんだかねぇ」
天井を仰ぎ見る千絵。
俯き加減の洸汰さんは少しだけ長い前髪のせいで顔が隠れてしまい表情が読み取れない。
美里ちゃんはきっと大上くんのことをまた自分のところへと戻したいんだ。
わたし達を別れさせたいんだろうな。
深読みしすぎかな……?
「言いたいこと言えなくて我慢してると後悔するよ」
わたしと目が合うとやんわりと微笑む千絵。
とても優しくて千絵の存在は心強い。
「洸兄。日向子のこと車で家まで送ってってあげて」
「あぁ、うん。了解」
窓に視線をやると外はもう真っ暗で。
時間が経つのは早いなぁなんて思った。



