【完】隣の家のオオカミさん


今朝の出来事を一気に話し終え、ベッドにいる千絵に視線をあげて軽く息を吐く。


千絵はずっと黙って聞いてくれていた。

少し前からいた洸汰さんも真面目な顔で聞いてくれていた。


最初に口を開いたのは洸汰さん。



「まぁ、あれだね。掴み合いのケンカにならなくてよかったね」



掴み合いのケンカ…想像しただけで恐ろしい。


あの時のわたしは怒りよりも混乱の方が強かった。


「日向子が掴み合いのケンカなんてできるわけないでしょ。こんなのほほんとしてる性格なんだから」


「うん。想像できないな」



うんうん、と頷く桜田兄妹をぽかんとした表情で見つめる。