「──おかえり、日向子」
買い物バッグを手からさげて階段を上っているとドアの前に大上くんの姿があった。
ちょうど鍵を閉めているところで、これからどこか行くのかな?
「これからお出かけ?」
「あぁ、ちょっと友達と。ご飯は今日はいいわ。ごめんな」
ぽんと頭に手を乗っけながら少し屈んでわたしの顔を覗き込んでくる。
わかった、と微笑んでみせると目を細めて口角をあげる大上くん。
時折見せるとびきり優しい表情には目が離せない。
すごく綺麗に笑うんだよね。
その顔をなんとなく見つめていると少し顔を傾けて近づいてくる大上くん。
わたしの顔に影を落とすとちゅっと音を立て大上くんは離れた。



