【完】隣の家のオオカミさん


「この前、ちょっと気まずくなりましたけどね」


あはは、と笑いながら顔を前に戻す。


狭かった歩道を抜けて交通量が多い大通りに出る。
信号待ちでなんとなく目の前を過ぎていく車たちを視線で追いかける。


冷たさをはらんだ風がわたしと洸汰さんの間を吹き抜けた。



「あの郁磨がこんな真面目になるなんてねぇ」


「中学時代の大上くんを知ってるんですよね、洸太さんは。そんなにやんちゃだったんですか?」



ニコッと洸汰さんは笑うと、そうだねぇとぼそりと呟く。



「美里と別れてからかな。来るもの拒まずで、すげー女関係適当だったかんね」


「へぇ……そうなんですかぁ」



変に思われないよう取り繕うように笑顔で返す。