「ごめん、あんな勘違いして」




そう言ったあたしの顔をジッとみる涼平。でも口は開かない。今、付き合ってって言えばいいのかな。




「あ、あのね・・・」




意を決して最後の望みにかけてみようかと思った瞬間、あたしの唇に当てられた彼の人差し指。


そして優しく微笑んだ。


バスの中、繋がれた手は離れることがなく、でもそれ以上あたしも口を開けなかった。



まるで涼平が今は何も言わないでと言ったかのように思えたから。