そして、いよいよ中山くんが引っ越す日になった。


私はその日、ちょうど職員室に用があって行ったところだった。

職員室のなかには、みなれた人影が・・・


中山くんだ!!


中山くんは、担任の先生から、通知表や成績表や、、、いろんな書類を渡されていた。


なにか胸の奥がズキンと音をたてて、痛くなったと思ったら、

顔から、塩辛い雫が落ちてきた。


横を通った可奈が

「どうしたの?絢乃?」

そう言われて、ふと我に返った。

「ううん。何でもないよ。へいきへいき(笑)」

「いや、なんでもないことないでしょ。廊下でいきなり泣くとか、まぢ絢乃らしくないよ?」


あぁ、さっきの塩辛いの涙だったんだー。(笑)

「ほんとに?ありがと。」

「ほんとにだいじょうぶ?」

「うん。」


そうしていると、職員室から中山くんがでてきた。

がっちり目が合ってしまった。

すると、後ろから咳払いが聞こえて、

後ろを振り返ると、若本くんにじーって見られてた。


「浩紀いっちゃうよ?このままでいいのか?」

「えっ?」

「元気でね、とか、じゃあまたね、とか・・・

 告るとかせんとや?」

「しません!」

「後悔してもしらねぇぞ。」

「・・・」

「ま、俺には関係ないけど(笑)」

人事のように笑うな!ドS野郎め!!


その言葉を言い残して、若本くんは去って行った。


「なに絢乃~?今度は若本くん??(笑)」

「そんなわけないでしょ!あいつのどこがいいのー!」

「かっこいいし、スポーツできるし、頭いいし、
 性格いいし。」

「まぁそりゃそうだけど。」

「まぁ、絢乃の自由だしね(笑)」

「まぁそうだけど・・」

「でも、中山くんとはもうあえなくなるんだし、若本くんのほうがいいと思うけどね。」