そんな背中を苦笑いを浮かべて、敬介は見ているんだろうな。


「敬介、ごめん。ドジっちゃった」
「いいよ、行っておいで。待ってるから」
「じゃあ、行って来ます。必ずすぐに帰るから」
「待ってるよ」


出掛けにキスをし、バタバタと飛び出して向かうは新大阪駅。


しかし、途中の電車が信号トラブルで停まり、先生の出発には間に合わなかった。


という事は、自腹で東京まで行かなくてはいけない。


顔面蒼白、足ブルブルガクガク。


データで送ればいいんだろうけど、先輩はそこまで甘くない。


何とか持ち込んでも、怒鳴られるのは間違い無いし。


また電話だ。


『大沢ちゃん、先生カンカンだよ! 』
「今から新幹線でおうかがいしますーっ! 」


先生の前で土下座、確定です。