浩さんは、長年持ち続けて来た自分のセクシュアリティを捨ててまで、木村専務と結婚しようとしているのだから、あたしも変わらなきゃ。


まず、この体重。


就職までに少しは減らさないといけない、それに、いつか来るであろう敬介との夜明けに向けて。


「シホちゃーん、クミスペシャル！　」
「はーい」


妄想にふける余裕すら与えられず、ひたすら雑用係に徹して向かえた夜明け。


もう営業終了。


最後の看板を仕舞う浩さんの背中は、さみしそうだけれど、でも、これでいいんだ。


「浩ちゃん、お疲れ様！　」
「ありがとうございます、皆さん」
「じゃ、これからお祝いして、片付けの手伝いするわよ」


ま、まだやるんですか……。


徹夜でフラフラなのですが。


ママが持って来たドンペリのピンクで乾杯をし、浩さんのあいさつがある。