※公開終了間近! イロモノなアタシ

絶対無理、人気若手芸人でしかもイケメン。


あたしは内定取れないブサイク、その上デブゲイだよ。


綾女なら分かるけどさ、よりによってこんなのを選ぶ奴は居ないだろ。


我が腹を触ると、ブニッとした感触。


消したTVに映るのは、上を向いた鼻。


夢見てる場合じゃない、働き口を探さないと。


跡を継ぐなら『シャングリラ』で働く合間に、お父さんのやってる経理とかその他もろもろを手伝わないと。


考えれば考えるほど、嫌な泥沼にハマり出す。夕方近くに目を覚まし、出勤の支度をしながらご飯を食べていたら、お父さんが帰って来る。


「お帰り」
「ただいまー、まっ! またそんな物を食べて」


レトルトシチューをご飯にかけたシチュー丼を見て、お父さんの顔色が変わる。


「志穂ちゃん、少しはカロリーを控えめにしたらどうなの! 」
「だって、営業中にお腹空くし」


自分は何時に何を食べても太らないクセに、ああムカつく。


おまけに食べかけの丼を片付け始めたよ、この人は。


「食べたら食べた以上に肉が付くのよ」
「はいはい」


線香臭い和服からガウンに着替えて、リビングの鏡台でメイクを落としながら、我が子に向けて説教を始めるオカマの父。