※公開終了間近! イロモノなアタシ

「お父さぁーん」
『志穂ちゃん……お赤飯は何升炊けばいいかしらね』
「いくらでも炊いて下さい」


大阪に来て良かった、そしてあの木村専務とどんな形であれ面識があって良かったと痛感する。


もしかして、浩さんが何か言ってくれたのだろうかと思い、電話をかけてみた。


「浩さん、今日ハギモトの内定取れました、ありがとうございます」
『良かったね、志穂ちゃん。でも、どうしてありがとうなの? 』
「木村専務に何かを言ったんじゃないんですか? 」
『何にも言ってないよ、まさか彼に会ったの! 』


本当に何にも知らない様子だ、という事はコネでも何でも無い!


このブサイクな顔と体、そしてあの土下座が本当に効いていたのだ。


「今日、役員面接でお会いして、それで部屋に写真があったから」
『そっか、そういう意味ね。あ、ごめん、キャッチ入った。東京に戻って来たら、お祝いしようね、じゃあ』
「はい、失礼します」


電話を切って、気分のいいあたしは、大阪を食いだおす事にした。