「皆の目が気になるんです、あんなイケメンをデブスが連れ歩けると思いますか? 」
「いいんじゃなーい? あたし達の世界は何でもありだもの」
フケ専デブ専ガチ専、何でもありですもんねーゲイの世界は。
でも女の世界は、見た目勝負。
若くてイケメンは、皆のあこがれ。
当然、付き合っていいのは美人だけ。
デブスはハナっからお呼びじゃないんですよ、一般的には。
「お休みなさい」
ガブガブとシャトーマンゴーを飲み干すと、自分の部屋に引きこもる。
あの2人に何を言ってもムダだ、見た目と心は女だけど中身はゲイなんだから。
化粧を落とし、ジャケットを脱ぐと白いロースハムが見える。
おいしそうだな、これ。ガブってしたら。
ワンピースを脱げば、見事なバラ肉がハミ出して来る。
角煮にしようか、これは。
ブタは恋なんかしちゃいけない、恋するブタはキモイだろう。
これまで何度「お前はダメだよ、ありえねーもん」って、告白する前にトドメを刺されたか。
トラウマは自信喪失となって、今のあたしの目の前に突きつけられる。


