「今までは葵のこと、勝手に強い子だからって甘えてたって。葵が何を思ってるのかなんて考えもしなかったって」
………やっぱりね。
私なんか、どうでもよかったんだ。
私が1人、暗い思考に走るのを止めるかのようにりょうはきつく抱きしめて言った。
「……榊原さんね、泣いてた。もっと、一緒にいてあげればよかったって。もっと、我が儘聞いてあげればよかったって」
今さらそんなこと……っ!
私はいつの間にか流れていた涙を拭うこともせず、りょうの腕から逃れようともがいた。
それでも、りょうは腕を緩めなかった。
「離して……っ! 離してよ! そんなこと、聞きたくないッ!」
「っ……葵のお母さんは! 葵のこと愛してる!! 昔も今も、これからだって! これがその証拠だから!!」
りょうはそう叫ぶと、持っていた袋を私の前に突き出した。
「……な、に」
「いいから、開けて」
