「…っ! んー!……んー!!」
頭を押さえられていて、相手の顔が見えない。
男なのだろう、力が強くて振りほどけなかった。
油断していた。
りょうと会って多少なりとも動揺していたのだろう。
いつもなら気づけたはずだった。
マスコミに捕まったのだろうか。
絶望的な恐怖を感じ始めたとき、
「っ……静かにして! 俺、りょうだよっ!!」
りょう!?
何でりょうがこんな暴漢まがいなこと……。
私が驚いて抵抗を止めると、りょうはそっと手を離した。
「お願い、話を聞いて。まだ伝えきれてない。葵を諦めるわけにはいかないんだ」
そう言うと、私のことを後ろから抱きすくめた。
