「……社長には捜さないように頼んだよ。確かにその方が早いけど、なんとなく俺が嫌だったからね」
そう言う彼は、さっきまでとは違う冷たい空気を纏っていた。
……なぜ、そこまでして私を捜していたのだろう。
もう彼と別れてから、2年近くたっているのに。
……もし、彼が私と同じようにまだ私を好きでいてくれたら。
「……葵のことがね、忘れられなかった。虫のよすぎる話だけど、俺はまだ好きなんだ。……いや、葵を好きじゃなかったことなんてないんだよ」
こんなに嬉しいことはない。
彼が初めて告白してくれたときと、同じ目をしていた。
あのときと違うことは、その目に不安があること。
絶対の確信があったあのときと違い、今は私の気持ちが分からないのだろう。
目が不安げに揺れていた。
