日陰より愛を



「ごめん…。俺だけじゃどうしても見つけられなくて。最初の1年くらいは1人で捜してたんだけど……。でも、会えてよかった」


そう言って彼は弱々しく、けれど嬉しそうに微笑んだ。


私はそれを見て混乱していた。


りょうは、私を恨んでいたんじゃないの……?


だから、探偵なんて寄越して私を陥れようとしたんじゃないの?


彼はそんな私の細かな反応を見逃さないように、じっとこちらを見つめていた。


「まずは、謝らせてほしい。社長の嘘を信じて葵を傷つけた」


そう言って、深く頭を下げた。


私はりょうに対してどんな反応をするべきか、決めかねていた。


「じゃあ、どうして探偵なんて……。その社長に頼む方がよっぽど早かったでしょう?」


本当にそう思う。


仮にも、芸能事務所の社長だ。


コネだってたくさんあるだろうし、それを使えば人1人捜すのなんて容易かったはずだ。