私は角を曲がってすぐのところで尾行していた男を捕まえた。
足を引っ掛け、腕をひねり上げ、うつ伏せにして上にのしかかる。
急所の首を押さえて、ぐっと圧力をかけた。
昔、無理やり習わされた護身術が役にたった。
これがあの人たちの仕業なら皮肉なものだ。
「あなたは誰? 誰に言われてこんなことを?」
押し黙って口を開きそうにない男に私は首への圧力を上げた。
「……ぐっ…! 分かっ、分かったから! 言うから手を離せっ!」
相手はプロだ。
首への攻撃の怖さを知っているのだろう。
私は少しだけ手を緩める。
「長谷川亮介だよっ! 俺の依頼人は、長谷川亮介だ!!」
