【完】ただの罰ゲームだから。

楓side


 「よかったな、楓。負けたけど相手が松田で。」


 そう、俺は別にこれからの1週間が憂鬱って訳ではない。


 あそこで嘆いているあいつみたいに…。


 話しかけてきたのは宮坂豪。ただのじゃんけんをあんなに盛り上げた張本人。


 「あぁ。」


 俺が松…いや梓を好きなことを知っている唯一の人間。


 「頑張れよ?この1週間はチャンスだろ?楓にとっては。」


 梓の方をニヤニヤして見ながら言う豪。


 「面白がってるだろ!?お前。」


 「こんな面白いことないだろ?楓くん♪」


 「ふん。やってやるよ。なんたって“チャンス”だからな。」


 「はいはい。頑張れ~」


 嫌味を言ってやってもなんてことなさそう。


 「あっ!楓、一緒に帰らなくていいのか?彼氏、だろ?」


 「言われなくてもそうするよ。」