「手遅れ?でも、そうだね。梓ちゃんが諦めちゃってるんだから。」


「じゃあ、諦めなかったらまだ可能性はあるかもって言うんですか?」


「かもね。せっかくだったら足掻いてみたら?」


先輩は最後の一口を飲み干して、言った。


「雨も止んだみたいだし、そろそろ行こっか。」


と、サッと伝票を持って立ち上がるから、私が慌てて


「いくらですか?」


って聞いたら、ニコッと笑って私の分まで払ってくれた。


「梓ちゃんはいいよ。その代わり頑張って。失恋した俺の分まで幸せになってもらわないと。」


「っ頑張ります!」


「本当は、俺が送りたいところなんだけど……あそこに居るのって……」