「で、何しに来た」


ぶっきらぼうに尋ねると、凪人はぽりぽりと頬をかき、答えた。


「えーっと、今度の日曜にある古本市、一緒に行かね?」


「あー、うん、分かった」


「はじめっから行くつもりだった?」


「ああ」


「さすが俺パパの弟子」


「弟子扱いかよ」


古本市は人が多い。


しかし、それに耐えてでも行く価値はある。


ナミダはこの季節にある古本市の存在も、はじめから心得ていた。