NA-MI-DA【金髪文学少年の日常】

はっと目が覚めて、何故かいたたまれない気分になった。


なんだ今の夢は。


願望か?


それにしてはその望みの意図がはっきりしない夢だった。


白も黒もない、色彩は感じられず、明るくて優しい女の声だけが響く夢。


なんとなく遺影を見上げた。


「あんたかよ?」


思わず物言わぬ母の笑顔に問いかけて、少し恥ずかしくなった。


時計を見ると7時をまわっている。


あと30分後には家を出ないと間に合わない。


あーあ。


ナミダは朝はゆっくりしたい派なのだ。


「おはよう、ナミダ。今朝は遅いのね。もうちょっとで起こしに行くとこだったわ」


「うん……ちょっと夢見がな」


朗らかに笑いながら祖母はテキパキと動き味噌汁とご飯と目玉焼きをよそってくれる。


朝の定番メニューだ。


これが時にはパンだったり、ベーコンがついてくる日もある。


「お父さんより遅く起きてくるなんて珍しいのね」


父の出勤時間はナミダよりだいぶ早いが、たいていぎりぎりに起きてくる。


毎日毎日慌てて飯をかっこむ姿には学習力の欠片も見受けられない。


「いったいどんな夢見てたの」


好奇心を見せる祖母に、ナミダは首をすくめて見せた。


「もう、忘れた」