「俺さ、好きな子居るんだけど」

大我が言った。

「え…?」

それしか言えなかった。

嘘でしょ?

私の好きなその笑顔で嘘って言ってよ。

「五組の莉菜って言うんだけどさ、超可愛いんだよ。若菜、応援してくれるよな?」

「う、うん…」

そんな事言われたら、うんしか言えないよ。

莉菜…ー

それは五組で一番可愛いと言われている

フワフワ系の可愛い女の子。

私とは正反対だ。

「いつから?いつから好きなの?」

「三日前の雨の日に、傘忘れて濡れながら帰ってたんだよ。そしたら莉菜がさ、傘に入れてくれた」

あの日私は委員会だった。

悔しい。

じゃあ、私があの子のようにしてたら、

私を好きになってくれてたかな?

「そうなんだ…」

「若菜!俺マジで頑張るわ!」

その笑顔は、キラキラ眩しくて

私は見たことなかった。

「う、うん…頑張れ」

気持ちと言葉が正反対だ。

ズキズキと恋が苦しむ音がした。