「いてつ、っ──相変わらず毬の平手打ちは強力──つ、っ、あれ…血だ」
「密貴さま!?」
え…
密貴の声に一番に反応したのは、竹田さんで…
私の後ろから飛び出すと密貴に近づき、腫れ物でもさわるような感じで、密貴の手を顔から払いのけた。
「ああ、鼻血ですね───よかった。これぐらいなら直ぐに止まります。頬の腫れは色男の勲章ってことで──」
ほっとして、竹田さんがポケットからハンカチを取り出し密貴の顔に当てる。
白いハンカチに血が染み込んでどんどん広がっていく。
え…止まらないの……?
ハンカチを離すとぼたぼたと血が落ちていて
「あ、やべー…」
密貴のその声を聞いた途端、体が勝手に動いていた。



