「ツグミ?母屋にコレ持って行ってちょうだい。母さん、手が放せないから…」


今取り出したばかりのぬか漬けを袋に入れながら母さんが私を見る。


日曜日の朝。遅く起きてリビングのソファーに座りながら休日をリフレッシュしていた私。


湯気が立ち上る紅茶をひとロ飲んだ所だった。


「今はだめ。忙しいから─」


「なに言ってるの?ちっとも忙しそうじゃないじゃない…むしろ、暇そうに見えるんだけど…」


「暇じゃなくて、これはリフレッシュしてるの」


「あら、そう?母さんにはどう見たって暇を持て余してる様にしか見えないけどね…まあ、いいわ。飲み終わったら持って行ってちょうだいね。…年頃の娘がせっかくの休みにデートもないなんてね~全く、32にもなって彼氏の一人もいないなんて───」



大きな独り言は、耳に痛いもので……ついつい反論したくなる。



「失礼な!私だって、彼氏の一人や二人……」


でも、的を射た意見だけに最後の方はごにょごにょごまかしてしまった。


それを母は見逃さない。


「え、あら、いるの?」


的確な突っ込みを入れられてしまった。