かずまの放ったボールは

見事ゴールのネットを揺らした。


客席から歓声が上がる。


同点に追いついた。


私のテンションも最高潮に。


そして、後半戦終了のホイッスルが

会場に鳴り響いた。


勝負はこの後のPK戦に

委ねられることになった。


先生が選りすぐりの選手を選ぶ。


そして、PK戦が行われた。


ドキドキした。


今年こそ決勝に行けるんじゃないかと。


私達はみんな、手を合わせて


祈るようにしてその様子を見てた。


だけど結果は、2ー3で、


私達の高校の負けだった。


ベンチに戻って来たみんなは


泣いていた。


だけど、かずまは涙を流さなかった。


ひとりひとりに、お疲れ様、


よく頑張った!と声を掛けに行ってた。


自分が1番辛いはずなのに。


最後の最後までかずまは決して


泣かなかった。