図書館のキセキ



突然ことで何も言えずにいると、


「まぁ、驚いたよな。

でも、本当なんだ。

ずっとずっと、好きだった。」


和馬の顔は真剣だった。


本当は少しだけ気づいてた。


私だってそこまで鈍感じゃない。


だけど、そのことを

信じたくなかったのは


本当に気の合う大事な友達だったから。


「だけど、付き合ってくれとは言わない

俺が今までずっと黙ってたのは、

お前とは友達でいるのが

いいと思ったから。

おれの気持ちだけでもし付き合えば

俺たちの友達の関係が悪くなる。


だから、黙ってた。」


『いつから、好きなの?』


「んー、わかんねぇ、

気づいた時にはもう好きだったよ。」


どういたらいいかわからなくて、

返事に困っていた。


「今までずっと一緒だったけど

さすがに大学までなんてそんなの

無理だろ?それを考えてたら、

伝えないとなと思ったんだ。


それで、ひとつだけお願い。


明日の試合で俺はゴールを決める。

そして勝つ。


それができたら、おれと付き合うことを

考えて見て欲しい。」


『考えるだけでいいの?』


うん、強制はしたくない。

そう言って和馬は笑った。


本当にこの人は心底いいひと

何だろうなって思った。


和馬はいつでも、周りの気持ちを考え

今も私のことを考えてる。


和馬は傷ついてるはずなのに。


だから、真剣に考えようと思った。


結果はどうであれ、和馬の勇気を

無駄にはしたくなかった。


『わかった。考える。

頑張ってね、あした。』


「おう!頑張るよ!」



和馬はスッキリしたような笑顔で

伸びをした。


「俺が村田って呼ぶのは

そう言う気持ちがあったからだぜ。

まいこのことはその、下の名前で

呼べたけど。」


言われて見ればそうだ。


絶対にゆなって呼んでくれなかった。


和馬の下向きででも、真剣な

私への想いが痛いほど伝わって来た。