図書館のキセキ



その日以来、私はふとした時に

あの人のことを考えていた。


何歳なんだろう、どんな声で話すのかな

いつも何の勉強してるんだろう

とか。


今日もそうだ。

さっきからずーっと、あの人が

頭から離れない。


「…なっ!ゆな!ゆなってば!」


『ふぇ?』


「ふぇ?じゃないわよ!

聞いてた?私の話。」


『あぁ、ごめんごめん!

ぼーっとしてた!』


もう、と言いながら

まいこは話の続きをし始めた。


まいこの話と言えばだいたいは

彼氏の話し。


その彼氏とは、中2の時から

付き合っている。

名前はもんぺい。

って言うのはあだなで、

紋部良平が本当の名前。


もんぺいの一目惚れで始まった恋。


とにかく、もんぺいがまいこに

ぞっこんで、いろいろあるけど、

今も仲良くやってる。


もんぺいは野球部で

その腕前が評価されて野球の

推薦で他県の高校に行っている。


だから、今は寮生活で、

月に1度ぐらいしか会えないらしく、

まいこがもんぺいの話をする頻度が

かなり多くなった。


だけど、2人の話を聞いてると、

本当に羨ましくなる。

そして、こっちまで幸せになる。


それは多分、半分寝ながら聞いてる

あきも、ずーっと、相槌を打って

あげているえりかも、

同じことを思ってるはず。


このカップルは本当に

お似合いカップルなんだと思う。