彼は持っていた剣で受けると跳ね返し、私の左腕をかすめた。
「痛っ…」
「良いこと教えてやる。」
彼がフッと笑うと冷めた緑色の目で私を見下ろした。
「俺は最初っからお前のことなんか好きじゃなかったよ。」
すると彼は剣に付いた血を舐めた。

私は力を振り絞り剣を振り下ろしたが彼はまた、それを振り払った。その勢いで私の持っていた剣が宙を舞い、落ちた。

カランカラン・・・

「あ!!」
剣を取りに行こうとしたが、飛んだ場所が遠すぎた。
彼は少しずつ私に近づき、剣を向けた。
「悪いが俺にも大切な人をフェルツ家に殺されたんだ。
そして俺の夢はフェルツ家を抹殺して、俺がこの国を支配することだ。そのためには悪いがフェルツ家の王女にはここで死んでもらう。」


どこかで甘えてる自分に叱責した。
泣いたら許してくれるのではないかとふと思った自分に腹立たしくなり、無残に殺された二人を思うと申し訳なさを感じた。
大切な二人を殺されたのに、そんな甘い考えを持つなんて・・・。

私は涙を堪えた。すべては自分で決めたこと・・・。

絶体絶命、彼は本気だ。

私は死を覚悟して、その場にしゃがみこんで目を瞑った。