兄を殺した憎き相手が
私の愛する人だったなんて・・・。

その上、シャーゼを殺すなんて・・・

あの人は敵・・・

絶対許してはいけない憎き相手のはずなのに・・・

風で揺れるサラサラの黒髪、高い鼻を強調した横顔。陽の光に照らされ、エメラルドの光を放つ緑色の目。彼の高い身長、鍛えられた体、私を抱き抱える腕。全部好きなのに・・・

『サラ…愛してる』

まだ、こんなに好きなのに、どうしたら良いの・・・?

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ようやく、シャーゼの家にレイゼル家、赤の王の護衛兵が到着した。
「アレクサンダー王、お迎えに上がりました。さぁ、行きましょう。」

サラ・・・サラ・・・・
サラがあのフェルツ家の王女だったとは・・・・

純粋で、か弱くて俺が守ってやりたいと思った。
サラを俺の嫁にして、幸せにしたいと思った・・・・。
そのためにこの国を変えようと思った・・・

だが、サラは俺の憎き相手、フェルツ家の・・・王女・・・

「うおぉーーーーー!!」

俺はやりきれない気持ちに咆哮した。

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