色とりどりの模様をあしらった木綿の小さな袋がついた首飾りを
受け取った。

「ポプリのネックレスだ。良い匂いだろ。
これを俺だと思ってお守りとして付けてくれ。」
「兄上・・・・・」
「大丈夫だ。心配するな。」
ウェルダ王は笑顔でそう言った。


夕暮れ時、西空が茜色に染まる。
ここマウル湖もまるで血のように空と同じ赤色に染まっていた。
「サラか?」
振り返るとゼフェルが馬から降りて近づいてきた。
「ゼフェル・・・。どうしてここに・・・。」
「いや、明日一大決心があって、その・・・
成就出来るように願掛けに来た」
「マウル湖へ?」
「あぁ。まぁ、ここに来たらサラに会えるかなと思って・・・。
(サラの顔を見たら、エネルギーが湧いてくるからな。)
サラはどうした?浮かない顔して。」
「私は・・・その不安で、いてもたってもいられなかったの。なんかこの先悪いことが起きそうな予感がして・・・。

西の空に太陽が沈み、辺りはすっかり真っ暗となった。