扉を開けると兄が立っていた。

「兄上、こんな時間にどうなさったのですか?」ハッとして、兄が私の方を振り返った。

「ネズミが忍び込んだようだ。」
「ネズミ?」
「ああ、だが退治したから大丈夫だよ」
「そう…」
扉を閉めようとした時だった。
「アリア…」兄に呼び止められた。
「ん?」
「おやすみ」
「…ええ、おやすみなさい」

バタン。

廊下は薄暗かったため全身黒を身に纏った人が兄の前で倒れていたなんて私は気づかなかった。

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