やばい、とうとう人気の無い場所に連れて来てしまった。
私ってこんなに積極的だったっけ?
混乱をしていると彼が口を開いた。

「この場所から見る月は綺麗なんだな・・・。」
振り向くと彼は上を見上げていた。

街灯が全くないこの丘は、エンジェル公園広場と違い喧騒もなく真っ暗闇。
でも、丘の上に登ると目の前には、どこよりも大きくてまんまるで
黄金の輝きを放った月が見える。
クレーターがはっきり見えるので本当に手が届きそうな程すぐ近くに
月が見えた。

「えぇ。」
私は彼の姿を見た。
今日は、西洋甲冑ではなく赤い絹のシャツを着てラフな感じだった。
シャツのボタンが3つほど開いているため彼の鍛えられた胸元が露わだった。

どくん。

彼の腰には剣・・・
「どうかした?」彼に声をかけられてハッとした。
「あ、その剣ってもしかしてカタールおじいさんのところで買った物?」
「あぁ、早速護身用として持ち歩いてるよ」

私は勇気を出して彼にある頼みごとをした。