「涼、ところかまわず口説くのやめろっていってんじゃん…」
呆れたような笑みを零す胡桃先輩の頬がじんわりと朱に染まっていくのを、近距離にいた私にははっきりと見えた。
...胡桃先輩、可愛い
思わず頬が緩む。
涼先輩をコンプの中に入れるのは無理そうだ。
いくら私でもそこまで鬼じゃない。
...それに、どこかコンプに対してそこまで執着心が無くなってきているのも事実だった。
「あれ、はやいね3人ともー」
3人で笑っているとき、いきなりやけに落ち着いた爽やかな声が入ってきたかと思えば春太先輩がそこに立っていた。
「あ、春太先輩こんにちは」
視界が春太先輩をとらえると、私はとりあえず微笑んでおいた。
「春太先輩...?」
「憂ちゃん昨日は生徒会長ってよんでなかった?」
涼先輩と胡桃先輩が同じタイミングで不思議そうに言った。
私がさりげなく微笑ましく思っていると、
「俺が昨日頼んだんだよ、」
と春太先輩が爽やかな笑みで弁解した。
すると、涼先輩と胡桃先輩が先程までの不思議そうな顔をがらりと好奇心溢れる顔に180度変え、
「もしかしてなんか頼まれた後に言われた?罰ゲームつきとかさ。」
とたずねてきた。
私が小さく頷くと、
「ぇぇええ!?春太、次は憂ちゃん!?」
「相変わらず隅に置いておけないなぁ、さすが我らが生徒会長!」
とよくわからない事を口々に言いだした。