後ろから七瀬がついてくる雰囲気が伝わる。

ただそれだけのことで頬が緩む。


それを押さえながら、教室の戸に手をかける。



「っあ、憂!」


たしか柚希、と七瀬は呼んでいた女生徒が声をかけてくる。


「柚希っ」

七瀬が後ろから飛び出し、微笑みながらそいつの傍にいく。


どうしようもない喪失感に似たようなものを感じながらも、


「あれ、舜くん飲み物は?」

と女子が話しかけてきた為、色々と考えていたことは中断される。