教室へと道を歩いている途中、七瀬はずっと痛そうにしていた。

ふいに見てみると、先程よりも血が溢れて来ている。

「...強く噛むからいけないんだろう。」

俺がため息混じりにそう言えば、七瀬はまた俺を睨みながら

「うっさいわね!もとはといえばあんたが悪いんだからね!責任とりなさいよ責任!」

と、文句と無理難題を押し付けてきた。

「…責任?」

俺が眉をよせると、七瀬は涙目のままで、

「えぇそうよ!痛くなくす魔法でもかけてみなさいよ!」

と言い放った。

__そんなに変なことを言うほど痛いのか。


俺は軽く嘆息しつつ、七瀬の顔をまじまじと見つめる。

...しかしまぁ、改めてみると、生意気に整った顔をしている。

大きな瞳に長い睫毛、小さく通った鼻筋に綺麗な桜色の唇。

そんな唇が今は一部分だけ朱に染められている。

その状況はなんというか...

「な、なによ...」


少し照れたように頬を朱に染める七瀬。

それが俺に拍車をかけた。



気づいた時には俺は七瀬を壁際に追いやり、片手を壁につき逃げ場をなくすと、ぐいっと七瀬の顎に手をかけ、俺の方を向かせながら顔を近付け、