「え?あ、何ですか?」

急に名を呼ばれビクッと小さく反応して女性教師を見つめる七瀬。


「あなた、血が出てるわよ!大丈夫!?」

「え?血?」

きょとん、とした様な七瀬をよくよく見ると、桜色の唇から真っ赤な血が少しでていた。

...よくあんな距離で気づけたな、と少し女性教師に感心していると、

「あぁこれさっきの拍子に噛んじゃったのかなぁ...全然大丈夫ですよ?」

七瀬はふんわりと優しい笑みを女性教師に向けていた。

「あら、そう?お大事にね?」

女性教師はそれで納得したかのように頷くと自分のデスクに戻っていった。

「ほら、行こう?」

七瀬が俺を何故か急かした為、俺は

「あぁ、失礼しました。」

と、少し早口で言って職員室を去った。