「七瀬が勉強を教えてほしいと言うから教えていただけだ。」
結城はやっぱり淡々と喋ると私を見る。
「...あ、そ、そうなの!舜くん勉強すっごいできるって聞いたから...!」
私も慌てて同意し、笑みを作る。
「えっ!?でも結城くん私が聞いたときは答えてくれなかったじゃない!」
結城の取り巻きらしい女子がかん高い声をあげる。
う、うっさい...!
ていうかいつから聞いてたのよ...!
「...七瀬は今の時期中間テストの赤点者が受けている補習とは無縁の、学年上位に入る様な人だ。
そんな七瀬が聞いてくるぐらい難しい問題とは何か気になったんだ。もしかしたら俺もわからないものだったら困るからな。」
す、と目を細め饒舌に説明を紡ぐ結城に誰も何も言えなくなる。
「...なんだそっか!なら良かった!」
釈然とはしていないけど結城の説明に納得したらしい男子たちと結城ファンの女子が露骨にほっとしている。
「もー、誰ー?そんな噂流したのー」
私も内心ほっとしつつクスクスと悪戯っぽく周りに笑いかける。
それで場の空気が和んだのか、皆好き勝手に話始める。
...危機は、免れた...のかな?